コロカラBOOK

コロカラBOOK

ココロとカラダを大切に

包括的性教育の教材、コロカラBOOK。
とても大切なことなのに、なかなか取り扱いにくい性について、中学校で包括的に学ぶための教材ができました。
体の発達をはじめとして、人間関係や性の多様性、ジェンダー平等など広い範囲で性について考えていく内容です。
学校で先生や生徒たちが持っていても、当たり前に思えるような、取り組みたくなるような装丁に。中面も生徒一人一人にやさしく語りかけるように、インクルージブなデザインを心がけています。
2024年4月の刊行に合わせて実施されたクラウドファンディングでは、多くの方からの賛同を得て、約35,000人の中学生に無料配布されることになりました。

クラウドファンディングサイト

Client: 正進社
Year: 2024
Illustrator: 越井隆 (Web)
ホリグチイツ (Web)

<コロカラ編集部さまより>

「科学的な事実に基づく信頼性を醸しだしつつも、子どもたちが自分ごととして向き合える親しみやすさを……」「雑誌をぱらぱらめくるみたいについ開きたくなるカジュアルさがあって、だけどふざけに傾くことなく落ち着いた清潔感を保って、ただし大人っぽくなりすぎず中学校にふさわしい教材然とした佇まいで……」などなど、矛盾にも似た編集部の要望を見事に形にしてくださったこと、心から感謝しています。
中学校向けの包括的性教育教材という、類書がほとんどなく、かつ繊細な配慮と調整が求められる今度の企画は、私たちにとってもまったく新しい挑戦であり、終始手探りの状態でした。そんな中、ともすると熱意ばかりが先走ってまとまりを欠いた編集部の言葉に辛抱強く耳を傾け、漠然とイメージしつつも私たち自身でさえ確とは掴みきれていなかった企画の意図を言語化し、それをデザインという形に落としこむお手際が鮮やかでした。
デザインされた誌面を見て初めて「自分たちはこれがやりたかったのだ!」と気づかされるようなこともしばしばありました。そればかりか、こういうふうにしたいという当初の狙いや想像を超えるようなご提案をいただき、そうか、こんなこともできるのか、とさらなる可能性を開いていただくことも。単に原稿をなぞるのではなく、企画の見直しや軌道修正を含め、積極的なご提案をいただけたことは大変ありがたく、そのことは本の内容とデザインとが互いに影響し合う好循環を生んだように思います。とはいえ、提案を一方的に押しつけることは決してなく、編集者の求めるもの・表現したいことに真摯に耳を傾け、最終的にはこちらの選択を尊重してくださいました。
素材のポテンシャルを最大限引きだしつつ、同時に別のよりよい可能性にも光を当てていく。そういう、編集側の意図をくみ取ろうとする傾聴的な態度と、「こうしたらもっとよくなるかもしれませんよ」という提案とのバランスが絶妙で……。俵社さんのお力なしには『コロカラBOOK』は完成しえなかったと改めて感じます。
アテといいながらハイクオリティのラフイラストを描いてくださって誌面が想像しやすかったこと、納品データの指示が詳細かつ的確でめちゃくちゃわかりやすかったことなど、一つひとつのお仕事のクオリティの高さとやりとりのしやすさを示すエピソードは枚挙にいとまがありません。そうした迅速かつ正確でプロフェッショナルなお仕事の合間に、デザイナーとしてよりもむしろ個人としての思いや考えを垣間見せてくださる機会もあり、それがまた私たちにはうれしく、いっそう信頼感が増すのでした。
何より、企画の趣旨、すなわち包括的性教育の重要性やその社会的意義を理解してくださったこと、本当に心強かったです。日本における包括的性教育は、その実施を求める声が日増しに高まってはいるものの、社会的な評価はいまだ定まらず、議論が続いています。そうした状況において、私たちが目指すものを理解し、共感し、賛同してくださったおかげで、安心してお仕事をお願いすることができました。クラウドファンディングを実施した際にも全面的にサポートしていただき、このクラファンの成功も、やはり俵社さんのお力なくしては為しえませんでした。改めて感謝申し上げます。